2020年、僕はサニーデイ・サービスの良さに気づいてしまった

2020年、僕はサニーデイ・サービスの良さに気づいてしまった

タイトルのとおりである。

音楽通からしてみれば「えっ、いまさら?」とか「活動休止前のときは好きだった」とか「自分はヨギー派かな」とか色々な意見があると思う。

自分もいち音楽好きとして「サニーデイ・サービス」のことはもちろん知っていた。

なんならライブやフェスでも曽我部恵一ソロも加えたら何度も観てきたし、全く知らない人よりは彼らの音楽に興味を持っている部類に入っていたはずだ。

しかし今までは「興味がある」よりも深いところに自分の気持ちが行くことはないまま、彼らのフォロワーであるヨギーことYogee New Wavesやドレスコーズ・志磨遼平の音楽に心酔していた。

それが今年に入ってから、サニーデイ・サービス愛があふれ出してきている。

ついに“そのとき”が来てしまったのだーー

「好き」への移行期

僕が様々なアーティストの音楽と対峙するときは、大きく分けて5段階に振り分けることにしている。

  1. 嫌い
  2. 興味がない
  3. 興味がある
  4. 好き
  5. 大好き

5は新作が出れば新品で購入し、首都圏のライブには毎回必ず足を運ぶアーティスト。

4は新作をチェックしつつ、ワンマンも行けるときは行くアーティスト。

3は新作はサブスクで聴くし、フェスやイベントではライブを観るけど、ワンマンに行く程ではないアーティスト。

2と1は、まぁ読んで字のごとくだ。

今までサニーデイ・サービスは、ずっと3止まりだった。

それが今は4と5の間になっている。

この移行期が、リスナーとしていちばん楽しい瞬間だ。

それはまるで、恋におちたときの高揚感に似ている。

きっかけは『いいね!』


恋に落ちたきっかけは、3月にリリースされたアルバム『いいね!』の存在なしに語れない。

『いいね!』

ここまでシンプルかつ明瞭なタイトルには相当な自信を感じたし、目を引くジャケットのアートワークにも僕のアンテナが反応した。

最初聴いたときの感想は、「なんかいつもより寄り添ってくるなぁ」「距離が近くて優しいアルバム」と言ったところか。

それがリード曲「春の風」のMVで完全にやられてしまった。

「この鬱屈とした気持ちを爆発させた…おれの青春みたいじゃん!」

無理やり言語化するなら、こんなところだろうか。(てめえの青春は知らねえよって感じですよね、すみません)

今年新たなドラマーを迎えて3人組になった(戻ったというほうが正しいか)サニーデイ・サービスの、新たなデビュー曲と言っても過言ではない「春の風」。

この曲に、とても94年デビューのバンドとは思えないほどの瑞々しさパッションを感じたのだ。

「再スタートを全力で駆け抜けてやる!」というような気概すら感じた。

もちろん「春の風」だけでなく、1曲目の「心に雲を持つ少年」のイントロのギターが、ウイルス騒動で先行きの見えない不安にフィットして何とも言えない気持ちになったし、「コンビニのコーヒー」という身近な物を楽曲に昇華する世界観は、個人的に好きでたまらない。

『いいね!』の楽曲を生で聴きたい!

そんな動機からツアー千秋楽の渋谷公演のチケットを購入した。

しかしこのときはまだ、過去にとんでもない名曲が山ほどあることに気づいていなかったのだーー

配信フェスと『夏のいけにえ』


そして『いいね!』リリースから約半年経った9月、サニーデイ・サービスにドハマりする2つ目のきっかけがやってきた。

それが『ONE MUSIC ONLINE』という配信フェスに出演したサニーデイ・サービスのパフォーマンスだ。

ツアーが延期になったこともあり、いち早く“今のサニーデイ・サービスが観たい!”と思った僕は、配信ライブのチケットを購入。

いつもはそんなことはしないのだが、この日はなぜかライブを観ながら曲名を検索してセトリのプレイリストを作っていた。

この日『いいね!』からは「コンビニのコーヒー」しか演奏されなかったが、「baby blue」「さよなら! 街の恋人たち」「白い恋人」「サマーソルジャー」「青春狂走曲」と、活動休止前(90年代)の曲が6曲も披露されていたのだ。

そのプレイリストを聴いているうちに、自分の気持ちがどんどん変化していくのがわかった。

「これは好きになっちゃう・・・」と。

そしてめでたく「興味がある」→「好き」へと移行していった。

そこからのめり込むまでに時間がかからなかった。

まずリリース当時に買っておきながら観ていなかった(なんてことを!)2017年の野音ライブDVD『夏のいけにえ』を鑑賞。

このときのセトリといいパフォーマンスといい、映像作品ならではのこだわりといい、もうほんと素晴らしくて、“なんでこの時に今みたいにハマれていなかったんだ!”と後悔する始末だ。

すぐさま『夏のいけにえ』もセトリ順にプレイリストを作成した。

これが26曲(映像作品に収録されたのは25曲)もあるのに、全く飽きずに何回も繰り返し聴けてしまう凄さ。

中には1曲10分以上もある曲(「24時のブルース」)があるにも関わらず、冗長だとは感じず、気が付いたら終わっている。

BGMとして機能するのに加えて、1曲1曲を集中して聴いても楽しめるプレイリストにすっかり耽溺してしまった。

とくに気に入った曲をいくつか挙げるとしたら・・・

「サマーソルジャー」(1996年)

もう夏も終わるというのに、今も毎日聴いている。

「こんな大名曲を24年間も知らずに生きてきたなんて…」

と思うくらい、胸を鷲掴みにされてしまう。

切なくて甘酸っぱいメロディーと爽やかな歌声、風が通り抜けていくのを感じるサウンド。

もういっそ「サマーソルジャー」の世界に溶けて消えてなくなりたい(深刻)。

スロウライダー(1999年)

「なんだこのカッコいいギターフレーズは!」とテンションが上がるのが「スロウライダー」。

1度聴いたら忘れられないインパクトのあるイントロから始まるのに、楽曲全体としては抑えが効いているというか。

サビで爆発的に盛り上がるとかではなく、あくまで淡々としたビートで展開していくのが洒脱で惚れ惚れとしてしまう。

白い恋人(1997年)

「あま~~~い!」(古っ)

ひたすら甘々で身体がへなへなになっちゃうスウィートなラブソング。

『夏のいけにえ』のセトリでは、「セツナ」のエモーショナルなギタープレイのあとにこの曲が続いて、

・・・もう!この野郎!気持ちいいところを突いてきやがって!!!!という気持ちである。

いつかこんな気持ちになってみたいものだ(割と切実)。

青春狂走曲(1995年)

もうこの曲に説明は不要だと思うので、好きな歌詞を抜粋しますね。

そっちはどうだい うまくやってるかい

こっちはこうさ どうにもならんよ

今んとこはまあ そんな感じなんだ

How do you feel?

胸いっぱい(2000年)

「なんですかこのメロディーは!!」

もうこの曲のメロディー、聴いていると泣いちゃうんですよね。

とくに出だしの“OH BABY 今日の午後”の箇所がもう、聴いてるだけでなぜかこみ上げてくるものがあって…。

そんな曲のタイトルが「胸いっぱい」ですよ。

参りました。

新しくなった渋谷公会堂で、会える日まで。

ここ数ヶ月で急激にサニーデイ・サービス愛が高まっているわけですが、来年には今年延期になったLINECUBE SHIBUYA(旧・渋谷公会堂)でのワンマンライブが控えています。

それまで待ち切れない気持ちもあるが、とりあえず目下は来週(10月10日)の『DRIVE-IN LIVE “PARKED” Vol.1』の配信ライブを楽しみにして待っていよう。

来年には会えると信じて。

それではまた、素晴らしい音楽とともにお会いしましょう。

お元気で。

余談

このサニーデイ大好き脳で聴けば、以前挫折した『Popcorn Ballads』『the CITY』もすんなり聴けるかなと思ったんですが…

まだ僕には早かったみたいです(笑)。

ほんと曽我部さんの引き出しの多さと、チャレンジ精神の旺盛さに驚くばかり。

特集カテゴリの最新記事